チョコレート日記

暮れのコンビニでのこと

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その年の暮れも迫った繁華街にあるコンビニでアルバイトをしていた頃のこと。店内は、夕方から夜にかけてスナックなどで働く女性や、忘年会帰りのお客さんなどでいつも賑わい、大忙しでした。

出勤前の目の覚めるような綺麗なスーツを着たお姉さんが、試供品のリップで口紅を直したり、怖い風貌のお兄さんがお越しになったり。私は、ちょっとビクビクしながらも失礼のないよう懸命に仕事をしていました。

ところが、会計の金額にお兄さんの所持金が一円足りなかったのです。一円足りなくとも、商品を渡すわけにはいきません。
「申し訳ございません。あと一円…お持ちじゃないでしょうか?」
お兄さんはポケットやかばんの中を必死に探しましたが、やはりありません。しかし、その商品はお兄さんの仕事道具とあって、どうしても今必要なものだとおっしゃるのです。

「本当にお願い。一時間後に必ず、必ずもってくるから!」
そういい残してお兄さんは走り去っていきました。私は、お兄さんの剃り込まれた眉が悲しそうで、追いかけてまで引き止めることができませんでした。

一時間後、お兄さんはきっちり残りの一円を持参し「いや〜、助かった。ありがとう」と、お店に来られたのです。私はてっきり踏み倒されると思い込んでいたので、お兄さんが現れたときは「あっ!」と小声で叫んでしまいました。

私はもちろん店長に叱られましたが、お兄さんは、それから頻繁に買い物に来てくださいます。人を見かけで判断していた若かりし頃の思い出です。

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